4月が始まりましたね。
一区切りとは、リスケジュール(※)の継続交渉のために、銀行に出す経営改善計画書を作成し、銀行と社長との面談に同席して、社長が銀行に説明するのを補足して交渉をサポートする、という仕事が一区切りついたという意味です。
※リスケジュール=銀行から受けた借入金の返済計画の条件変更。具体的には返済期間の伸長と月返済額の減額です。
さて、この経営改善計画書の作成について、何が肝(きも)だったかというと、「書類作成」ではありません。
「書類作成」はそれなりに時間もかかりますが、この作業は、引き出した要素をまとめるだけです。
肝(きも)は、社長との面談を何度も重ねて確認をすること、会計と現場から会社の現状を把握すること、そして収益改善のために現実的に何ができるかを探ることです。
今回の会社において、これらのヒアリングで出てきた発見は以下の様なものです。
①利益が取れていると思っていた商品は、実はあまり粗利率がよくなかった。
一方、利益が取れていないと思っていた商品で高い粗利が確保できていた。
(力を入れるべき取引先や商品が把握できていなかった。)
②従来関わっていた専門家によって見当がつけられていた、固定費削減のために閉鎖しようと思っていた拠点は、実は大きな現金収入があり、もしもここを閉鎖してしまうと一気に資金繰りが苦しくなってしまうこと。
③直近の決算書において、清算が終わっている残高が残っていたり、計上すべき残高が計上されていなかった。(税理士とのコミュニケーションが取れていなかった。)
④PRしたい相手にPRしたい商品の魅力が伝わっていなかった。
・・・などなど。
他にもまだまだありますが、あまり具体的には書けないもので。。。。
これらを把握した上で、では現実的に何ができるかを探っていきます。
①を踏まえてどの商品やどの取引先を強化するかを決めたり、
原価(人件費)を抑えるために作業時間を抑えるべく、生産性を上げる工夫を組み込んだり、
その他、実現可能性の高いアクションプランについて検討して、
実現可能性の高い経営改善計画を策定していきます。
もしも、①の発見がなくて、本当は利益率が高いのに、粗利率が低いと信じ込んでいた商品を縮小してしまったら減益となってしまっていたでしょう。
もしも②の発見がなくて、そのまま拠点削減をした結果、資金繰りが悪化してしまったらどうなっていたでしょうか。
事業再生も含めた経営相談は、すべては状況把握にかかっているんですね。
ちなみに、事業再生に限らず、私が経営上の相談に乗り、作業をするときは、もちろんすべてオーダーメイドです。
会社の体制や状況によって、どのようなヒアリング、どのようなアクションプランの策定、どのような書類作成が必要なのかは全く違います。
社長曰く、「いままで、税理士やコンサルにこういうことを言ってもらったり、教えてもらったことがなかった。今回の発見は新鮮だった。」とのこと。
その言葉も嬉しいですが、この支援は計画書作成で終わりではありません。
実際に着手できるかどうかを何度も社長と検討して策定したアクションプランですが、
それが本当に実行されて、計画を上回る実績が出せるかどうかをフォローしていくここからが事業再生の本番です。
(というのも、計画を策定したものの、その後に形になったアクションプランが一つもないのであれば、計画そのものに意味がなかったということになるからです。)
こういう長いお付き合いになるため、経営相談の絶対的な前提条件は、社長や社員の皆さんとの信頼関係を構築することです。
今月は当事務所の許認可の仕事も立て込んできました。
季節も春になり、草木が芽吹くとともに、私もお客様も、気持ち新たに頑張るモードのスタートです。