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2013年11月27日水曜日

【ご相談】建設業許可と法人設立に関して多いご相談

建設業の法人設立と許可に関して、お問い合わせの多い内容を整理しておきます。


ちなみに、この情報は当事務所に蓄積した現時点でのものであり、
今後、役所によっては対応を変えていくこともありますので、
実際に参考にされる際は、当事務所にお問い合わせ頂くか、
担当する役所などにお問い合わせ願います。



建設業の法人設立(法人成り)

1「法人になったら、必ず社会保険に入らなきゃいけないの?」・・・「建設国保(中建国保)」の継続加入について
通常、法人になると社会保険(協会けんぽと厚生年金保険)に加入することが義務づけられます。
しかし、健康保険については、条件を満たせば保険料の負担の軽い建設国保や中建国保に入り続けることもできます。
個人事業主とその従業員しか加入できない建設国保や中建国保(土建組合の健康保険)ですが、法人化しても「適用除外認定」を受けることができると、法人としてもそのまま継続して加入することができます。
その場合、建設国保と厚生年金保険(社会保険の年金部分のみ)に加入することになります。
(建設業者は社会保険加入を強く求められていますが、上記の「建設国保+厚生年金」というスタイルであっても、社会保険加入済みとみなされます。)
適用除外申請には、組合の証明が必要ですし、事実発生から5日以内という厳しい申請期限もあります。
詳しい手続きは、加入されている土建組合にお問い合わせ願います。
ご参考→建設国保のページ
    →千葉土建のページ


2「法人にするにあたって、気を付けることは?」・・・資本金と事業目的について
建設業の法人化にあたって気を付けなければいけないことは、資本金と事業目的です。
これは、許可取得を視野に入れるかどうかで違ってきます。
事業目的は、「○○工事業」や「建設工事の請負」などの他に、「産業廃棄物処理業」を入れておくと、のちに「産業廃棄物収集運搬業」の許可取得をする際の「事業目的要件」をクリアできます。
逆に、この目的がない場合は、登録免許税3万円(司法書士に依頼する場合はその報酬も)をかけて目的の追加変更登記をしなければ、許可申請ができません。
また、資本金ですが、法人設立後すぐに許可取得を目指される場合は資本金(自己資本)500万円があれば、財産的要件をクリアできます。
しかし、どうしても500万円にしなければいけないという訳ではなく、資本金が500万に満たなくとも、預金に500万円あることの残高証明書(銀行が発行)があれば、要件をクリアできます。
ただし、資本金は、法務局が発行する登記簿謄本(会社概要を記載した証明書)に記載されます。
いくらでもいいとは言え、あまり少ない額は、信用に疑問を持たれることもあるので要注意です。


建設業許可

3「経営管理責任者や専任技術者の常勤性って?」・・・建設業許可の要件である「常勤性」について
建設業許可を取得するには、役員が欠格事項に当てはまらないことのほか、以下の3つの要件をクリアすることが必要です。
①常勤の経営管理責任者(建設工事請負を業とする経営歴が5年以上の方)を置くこと
②常勤の専任技術者(資格保持者または過去10年以上の実務経験を証明できる方)を置くこと
③500万円以上の自己資本(純資産)か現預金があること
①と②の「常勤」というのは、文字通り、就業時間中は常に営業所にて勤務しているということになります。
なので、例えば、会社を2つ経営している社長が、両方の会社の経営管理責任者になることはできません。
また、A社で専任技術者として登録している人が、B社で専任技術者になることもできません。
なお、②の実務経験の証明にも、その実務経験を積んだ会社での常勤性の証明(社会保険加入歴など)が必要になります。


4「常勤性はどうやって証明するの?」・・・常勤性の証明資料について
先ほどの「常勤性」を証明するのに必要なのが、
①会社名の記載のある健康保険証の写し(社会保険または建設国保)
もしくは
②会社名の記載のない健康保険証の写し&補足資料(所得証明書、源泉徴収簿、法人税申告書の役員報酬欄など)
です。
②の補足資料については、各行政の手引き(東京都千葉県埼玉県)をご覧ください。


5「社会保険に加入できない後期高齢者は、常勤性を証明できないの?」
上記のように、常勤性を証明するには会社名の記載のある健康保険証の写しが必要ですが、年齢的に社会保険に加入できない後期高齢者の方が「常勤性」を証明できないのかというとそうではありません。
これはどの自治体の建設業の手引きにも書いてあるわけではありませんが、今までの当事務所の通した案件では、以下のもので常勤性の証明が認められました。
①後期高齢者健康保険証の写し
および、以下の②~③のいずれか。
②社員全員分の源泉徴収簿+源泉所得税の納付書(金額が合っていれば、雇用関係を認めるということです)
③住民税の特別徴収切替申請書(今まで特別徴収をしていなくても、この申請書に氏名が記載されれば、雇用関係を認めるということです。)
ちなみに、従来は「常勤していることの誓約書」+「印鑑証明書」の添付をもって常勤性を認めていたようですが、東京都についてはこの取り扱いをやめています。
担当者曰く、「以前、これで常勤性を認めて許可を下したところ、常勤性が保てずに許可更新できない会社が続発したので、いまはこの取り扱いをやめています。やはり、公的な証明ではないし、会社と被証明者との両者のすり合わせでどうにでもできてしまうので、公的な証明を必要とする取扱いに変更しました。」とのことです。
ということで、上記の方法で常勤性が認められれば、社会保険に加入していない後期高齢者であっても、経営管理責任者または専任技術者になることができます。


6「社会保険に入っていないと建設業許可は取得申請できないの?」
現在、国土交通省が主導している「建設業許可業者の社会保険未加入対策」が実施されています。
具体的には、許可申請時(新規・更新・業種追加など)と経営事項審査(入札参加資格登録に必要)時に、社会保険の加入状況を確認し、未加入業者には担当行政から「加入指導書」が届くようになっています。
指導は、4ヶ月ごとにステージを変え、最初は知事からの指導ですが、最終的には厚生労働省管轄(年金事務所)に通報という形を取ります。
ということで、許可申請自体ができないわけではありませんが、未加入の場合は指導書が送られてきますので、早期対応が必要となります。
ちなみに、国土交通省が発表したところによると、「(24年7月から)25年9月末までの指導状況を見ると、1回目指導が1万9574件、2回目指導がその37・4%に当たる7315件。これらの指導の結果、4430業者が指導に従って加入した。一方、指導に従わずに未加入を続けたことから厚労省に通報されたのは、指導総件数の9・6%に相当する1878件に上った。 」とのことです。